錦秋の大山に挑む

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平成28年9月24日午後1時
私は中国地方の最高峰、その美しさから「伯耆富士」と呼ばれる
標高1709メートルの大山の頂に立っていた。

まさかこの歳になって大山の頂上を目指すとは努々思っていなかったことでした。

遡ること20年前、もうこれが登山に挑戦できる最後の年齢だろうと
私は一大決心をして大山に登っているのである。

なのにまた、その20年後に登ることになろうとは・・・

きっかけはお客様の小さな呟きでした。
「来月、九州の佐世保から来るお医者さんと大山に登ることになって・・・」
というひと言に、偶然隣に座っていた昌美さんが食いついたのでした。

富山県からこの米子に嫁いできた昌美さんは以前から一度大山に登ってみたい
と言っていたのを私はしっかり憶えていましたから、この食いつきは当然のこと
と思いましたが、更にこのあと展開するであろうことも予測し、これはマズイ!!
ということも察知したわけで・・・

予測は的中!!
「吹野さんも一緒に登ろうよ!!」と昌美さんは笑顔で言い放ち・・・

「イヤイヤ私はムリムリムリムリ!!!!!!!!!!!!!」
大慌てで拒絶したものの、呟いた旭さんまで「吹野さんも是非!!」と
待ってましたと云わんばかりに笑顔で私を引きずり込もうとするわけで・・・

昌美さんにのせられるままに登山用の靴を買いリュックを買い
必須アイテムのポール2本も知人に借り、9月24日早朝、錦秋の大山の麓に
颯爽と集結した6名の勇士の中に何故か私もいたのでした(笑)

チーム旭は、リーダーの旭さんと、佐世保のドクター2名と昌美さんと私
ここまでの平均年齢は60歳?ってとこですが、19歳の若者が一人加わり
平均年齢を下げてくれました(笑)

この老若男女、男子4名女子2名の珍道中の始まりは
大神山神社奥宮からスタートする行者谷コースでした。

一般的には夏山登山道を行くのですが、私は登ったことが無いこのコースを
希望したのでした。

難所もあり、慣れない登山者には不向きだという意見もあるコースですが、
私には最高の景色のとても素晴らしい登山道で、大満足でした。

歩き始めてすぐに私は珍しい植物や花につい目を奪われ
立ち止まり写真を撮ったりで、いつの間にか先行者との距離が
広がってしまっていました。

そんな私のマイペースに付き合って下さっていたのが旭さんで、
初めのうちは、若者も付き合ってくれていたのですが、やはり
元気溢れる若者のこと、どんどん先を行き、4対2のチームに
分かれてしまっていました(笑)

道中の楽しかったことは行き交う人々との交流でした。
県外からの登山者も多くすれ違うごとに
「こんにちわ」と声を掛け合うのがとても爽やかでいい!!

最も感動したのは3歳の男の子!!
パパとママはちゃんとした登山の装備だけど、その子はまるで
近くの公園にでも遊びに来たかのような軽装・・・なのに一生懸命
自分の足で黙々と登り続けているのです。

お互い途中休憩をとるので、その都度抜きつ抜かれつ・・・
その度に声を掛けあいハイタッチして励ましあい、良きライバルでした(笑)
登山者の年齢層は幅広く、90歳の御夫婦も!!!

もうひとつ励まされたものがどこからともなく聞こえてくる優しいメロディー・・・
誰かのスマホの着信音か?・・・と思ったら何と
行く手にオカリナを吹くおじさんが立っていたのです!!

トトロのテーマや、アンパンマン、里の秋などを吹いて
「このリズムに合わせて歩くと楽に登れますよ~
 もうすぐ頂上だから頑張って!!」って優しく
みんなに声をかけてくださっていたんです。
嬉しくなって私そのメロディーに合わせて歌いだしていました(笑)
そしたら旭さんもつられて歌っていました(笑)

本当にその日は登山者が多く、私たちが登る頃に下山してくる人達もいて
行き交う者同士が道を譲り合うことも何度もありました。

その度に「こんにちわ」「ありがとう」の声が行き交う。

山はいいなぁ~って、つくづく思いました。

途中で見下ろす下界の景色も、雲の流れも、空の青さも
何もかも感動!!です。

それ程の疲労感もなく、頂上に辿り着くと先に登頂していた4名が
それぞれに座り込み、寝っ転がり、体を休めていました。

1709メートルの頂は快晴!!
360度の大パノラマは、全ての疲れを吹き飛ばし爽快です!!

待ちに待った昼食は、おにぎりとカップ麺と
昌美さんが持って来てくれたゆで卵、食後の珈琲どれも美味しかった!!

お湯を沸かす為に近くにいた男子にライターを借りたのですが、
その子たちは短パンにTシャツ姿で手ぶら!!

運良くその日は快晴で私たちも防寒用に用意していた衣類は
無駄になるほどでしたが、運が悪ければ山の天気はコロコロ変わる!!
若さゆえの無防備なのか?
食べきれなかったおにぎりを進めると
大喜びで頬張って、これもいい交流でした。

350ml缶のビールが山頂だと800円ですが
飲む価値はある!!
滅茶苦茶美味しかった\(^o^)/

そして2時30分頃、下山し始めたのですがアクシデント発生!!

木道を歩き始めて100メートルも行かないうちに両足が攣り始め
歩けなくなってしまった私!!!!!

もうこのまま地上に降りることはできないのではないか・・・
大袈裟ではなく、一瞬そんなことが頭を過った。

必死に足をマッサージしてくれる昌美さんとドクターのお蔭で
再び歩き出すことができ、登りの時と同じく後ろから励まし続けてくれる
旭さんに付き添われ、無事下山することが出来ました\(^o^)/

足の痙攣は水分不足だったようでした。

ポールのお蔭で筋肉痛も殆ど無く、翌日も通常通りお店を開け、
心配して来て下さった旭さんも「臨時休業じゃなくて良かった!!(笑)」と

初めての大山登山に大満足の昌美さん!!
私は小学生の時と中学生の時と、二十歳の時と最後と思っていた20年前と
その20年後の5回目の登山を成し遂げました。

体力に自信を無くしかけていた今年、この登山は大きな自信になりました。
まだ大山に登るだけの体力があるということに勇気をもらいました。

チーム旭のみなさん、本当にありがとうございました。

さて6回目が有るや・・・無しや・・・