旅人

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「お店に伺いたいのですが、場所を教えて戴けますか?!」
と、女性の声で電話があったのは先週末、金曜日のことでした。

「今現在、富士見町一丁目に居ます」と仰る。

「近くに何がありますか?」と問いかけると
「信用金庫があります」という返事。

どうやら米子をあまりご存じない方だと思いました。

お車ですか? の問い掛けには「歩きです」というお返事。

その日はかなり雨が降っていました。

そくな中わざわざおいで下さるということに感謝しながら
そこから数分の吹野の場所を電話でご案内すると
間もなくレインコートに傘をさした御夫婦がいらっしゃいました。

電話を下さるまで、暫くこの辺りをぐるぐる歩き回り、
このすぐ近くまで来ていたのに、違うと思い遠のいてしまっていた
と仰り「もっと早く電話してお聞きすれば良かったです(笑)」と奥様。

地元の方ではないような気がして「どちらから?」とお訊ねすると
「長崎です(笑)」と・・・

「ええぇ~!!」っと私が仰天の声をあげたことは言うまでもありません。

今朝長崎をたち、新幹線、やくもを乗継ぎ、夕刻米子駅に到着。
宿に入るにはまだ早い時刻だったので、ガイドブックで見て
どうしても行きたいと思った珈琲屋吹野へ来て下さったのだとのこと。

お話を聞きながら私は喜びに胸躍らせながら珈琲を淹れました。

観光スポットの近くにあるわけでもなく、この雨の中を
どうしてもと足を運んで下さったということがとても有り難くて
本当に幸せだと思いました。

奥様は沢山の珈琲カップを愉しまれたあとお気に入りのカップを選ばれ
そのカップで召し上がりながら「やっぱり来て良かった」と喜んでくださいました。

「今夜は皆が生きると書く温泉に泊まります」と

「皆生」と書いて「かいけ」と読む米子の温泉地ですが
改めて「皆が生きる」とは素晴らしい  と感心したりして(笑)

続けて奥様が「明日は足立美術館へ行くんです」と弾んだ声で(笑)
こちらもとても楽しみにしていらっしゃる場所と推察されました。

一旦米子駅へ荷物を取りに戻り、皆生へ向かうと仰るので
タクシーを呼ぼうと電話をしたのですが、生憎の雨で車は出払っており
20分位待ち時間がかかると言われてしまいました。

それならば高島屋あたりまで行けば客待ちしているタクシーを
運が良ければ拾えるかもしない・・・ということに

昨年は日光に、一昨年は青森と旅慣れたお二人は
雨をものともせずお立ちになりました。

この旅が愉しい旅になることをお祈りしつつお見送りをした直後
「先ほどお邪魔した長崎から来た者ですが」と奥様からお電話が!!

何かお忘れ物かと一瞬慌てた私でしたが
「上手くタクシーを拾うことが出来ました、有難うございました」と!!

こんなご報告を戴いたことは初めてでした。

きっときっと想い出に残る良い旅をなさったことと思います。


その翌日にも大きなキャリーバッグを引いた背の高い若者がやって来ました!!

ガイドブック片手に入って来たその若者にも「どちらから?」と声をかけました。

「沖縄です(笑)」と、真っ白なシャツに爽やかな笑顔(*'▽')

20年前に突然沖縄からやって来た「風に立つライオン」を想い出させてくれる
懐かしい地名でした。

その若者は、鬼太郎ロードと鳥取砂丘を目指しているということでした。

何かお薦めの食べ物は? という問いに「日本海の海の幸を」と答えました。


皆さんが「鳥取県」及び「山陰」の旅を愉しんで下さったと信じて!(^^)!

出会いに感謝