王秋

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昨日、河原町から王秋という梨が届きました。
思いがけない贈り物に私は大喜びしました。
贈り主は麻里子さんでした。

麻里子さんとの出会いは昨年の10月でした。
服部麻知子さんと生徒さんの機織りの作品展に
おいで下さった時でした。

その日、カウンターに腰掛けた服部麻知子と歓談していると
ひとりの60歳代の女性が入って来られました。
瞬間、麻知子さんと私はその人が展示会にいらした方だと思いました。

ところがその女性はすぐに入り口近くの窓際の席に
お座りになってしまいました。
奥の展示品を見る事無く・・・です。

麻知子さんと私は顔を見合わせました。
「展示会にいらした方じゃなかったですね!!」
「そうですねハズレましたね!!」
そう小声で囁き合い
私はそのひとのもとへ注文を伺いに行きました。

ご注文戴いたお昼のランチを準備している間
麻知子さんはその方の横顔をチラチラと見ながら言いました。
やっぱり私の知っている方のような気がする・・・と

そして静かに席を立ち、窓際へ歩み寄り声を掛けられると
「あら~っ!!」っとそのひとも立ち上がり再会の挨拶を(笑い)
やはり展示会にいらした服部麻知子さんのお友達でした(^^)

そして麻里子さんはこうお話になりました。

普段、展示会へ行けば必ず真っ直ぐ展示を観に行きます。
ところが今日は吹野へ入った途端、何か暖かいものに包まれ
涙が溢れ、立って居られなくなり、とりあえず座らなければと
展示も観ずに近くの席に腰掛けてしまったのだと・・・

珈琲屋吹野には、私も気付いていない「何か」があるのかも
そんなことを思いながらその話を伺っていました。

その日は麻知子先生と積もる話をされ、私も参加させて戴き
お二人の再会を一緒に喜び、とても素敵な時を共有さてせ貰いました。
何となく好感を持てる気になる方でした。
なので今年、麻里子さんに吹野から年賀状を送りました。

すると1月下旬の朝から雪の舞う寒い日に
素敵な帽子とコートに身を包んだ麻里子さんが再び吹野へ!!
私が差し上げた年賀状をとても喜んで下さっていて
遠いところを列車に揺られおいで下さったのでした(^^)

とっとりNOWも観ましたと言って下さったので
亡き師の話も聞いて戴き、麻里子さんも昨年ご主人を亡くされており
同じ悲しみを想いまた涙が出ました。
外はとても寒い日でしたが、私は温かくなりました。
その日、王秋という梨を手土産にと準備していたのに
忘れて出て来てしまいましたと、とても悔やんでいらっしゃいました。
昨日宅急便にて届いたのが、その梨です。
その中には、こんな手紙が添えられていました。

    先日は楽しいひとときをありがとうございました。
    心も体もほっこりと暖かくなり、列車にゆられ、
    雪景色を見ながら帰りました。
    王秋(おうしゅう)という梨は収穫は11月ですが
    2月まで置いています。
    もう最後の最後で、しかも「イケン」梨です。ごめんなさい
    

「イケン」とはこちらの方言で良くないという意味です。
そのイケンという表現がいかにも麻里子さんらしくて
笑ってしまいました。
イケンといっても、少しキズがあり商品としては売れない
というだけのことで味には別状無く、私も初めて食べたのですが、
とってもとっても甘くジューシーでめっちゃ美味しかったです(^^)

米子と河原町は鳥取県の西の端と東の端で車で2時間以上はかかります。
車の運転をなさらない麻里子さんは列車の旅となります。
でも車窓から見える大山を眺めながらの愉しい旅だったようです。
春までにはまた来ます・・・と添えられていました。

その日を愉しみにお待ちしています。
是非その時は自身で染めて織られた着物を見せていただきたいです。
どうぞお元気で、これからも美味しい梨作りと機織りを
愉しんで下さいね。

素敵な出会いに感謝(^^)です。