「修二会」

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 ♪春寒の弥生 三月花まだき
  君の肩にはらり 良弁椿
  ここは二月堂 足早にゆく人垣の
  誰となく独白く南無観世音 折から名残り雪

  君の手は既に 凍り尽くして居り
  その心 ゆらり 他所にあり
  もはや二月堂 天も焦げよと松明の
  炎見上げつつ何故君は泣く 雪のように火の粉が降る

   走る 火影 揺れる君の横顔
   燃える 燃える たいまつ 燃える

  過去帳に青衣の女人の名を聴けば
  僕の背に 君の香りゆらめく
  ここは女人結界 君は格子の外に居り
  息を殺して聴く南無観世音 こもりの僧の沓の音
 
  振り向けば 既に君の姿はなく
  胸を打つ痛み 五体投地
  もはやお水取り やがて始まる達陀の
  水よ清めよ 火よ焼き払えよ この罪 この業

   走る 火影 揺れる あふれる涙
   燃える 燃える 松明 燃える  ♪♪

これは、さだまさしさん作詞作曲による「修二会」という曲の詞です。

奈良に春の訪れを告げる恒例の行事「東大寺のお水取り」を詠ったものです。
毎年三月の一日から十五日間行われるこの風景は
テレビや新聞等で必ず取り上げられるので、ご存知の方も多いと思います。
そのテレビの画面に映し出される光景をそのまま、というよりそれ以上に
詠い上げられるこの曲をコンサート会場で聴いた時、
体中にそのドラムの響きと、効果的に駆使されるパーカッションの巧みさ、
弦が切れそうなほどに激しく弾かれるギターの迫力にとても感動し、
是非一度、この松明の炎をこの目で観たいという願いが、昨年叶いました。

あれから、もう一年か・・・と感慨深く、今回ブログに認めてみました。
物凄い人の多さで、最初の松明に火が点された時はまだ、
二月堂の手前、数百メートルの地点の人垣の中に埋もれていました。

それから、一本点されるごとに少しずつ人並みが移動し、
残すところ二本になった頃、漸く松明の炎が観える位置まで辿り着く
といった状況でした。
炎は少し遠くではありましたが、「修二会」に詠われていた通り、
真っ暗な夜空に朱色の火の粉が踊るように舞っており、
起源には、悲しい物語もあるのですが、その炎には
この一年の人々の無病息災を祈り、思わず手を合わせていました。

亦いつか、機会があれば、もっと近くで、あの松明の火の粉を
浴びてみたいと思っています。

待ち遠しい春は もうすぐそこまで・・・・・来ています・・・