読書の秋!

  • 投稿日:
  • by

「おねえさん、この本読んでみませんか?!」と、
熱い珈琲カップを両手で包み慈しむように飲んだ後
和美さんが差し出した本は「珈琲屋の人々」という
双葉社から出版されている、池永陽さんという方の本でした。

その題名に惹かれ、お借りして読み始めました。

物語の中の珈琲屋は木造で、
お客はいつもカウンターにひとりとボックス席に数人という静けさ、
火傷しそうに熱々の珈琲が供されるところが
「吹野」に似ている・・・と感じました。
きっと和美さんもそんなところに「吹野」と重なる物を感じ
私に読んでみないかと奨めてくれたのではないかと思いました。

違うのは「吹野」はぺーパードリップ、文中ではサイフォンというところと、
そして何より「マスター」が過去に人を殺めた事がある男という、
重い過去を背負った人であるというところでした。

7年の刑を終えた主人公行介が、
商店街の中にある、父から譲り受け営む珈琲屋に
日々訪れる人々が織り成す人間模様が描かれています。

その商店街の住人であり行介と幼馴染の友が二人・・・
ひとりは洋品店を継いでいる気の置けない男友達、
もうひとりは蕎麦屋の娘で、行介をずっと想い続けている冬子。
行介の淹れた珈琲をカウンターに座って飲む冬子の
お互い口には出せずにいる想いが、
珈琲の香りと共に店の中に漂っているのが切なく読み取れます。

高校二年の若さで自らの命を絶ってしまった事件の犠牲者の女の子と、
その女の子への想いを胸に苦しみながら生きている男の子など、

それぞれが、色々な想いを抱えて珈琲屋にやって来る物語ですが、
その男の子の父親が、親父として息子に語る言葉や
行介が殺めてしまった男の、残された妻や子に対する行介の「誠意」など、
胸打たれることも多く、映画やドラマにしても素晴らしい作品になるのでは・・・
と思える、読む者の心に問いかけるもののある作品でした。

coffee.gif読み終えたあとには、温かな余韻が残りました。

「珈琲屋吹野」の28年の日々の中でも、沢山の物語が生まれました。
和美さんも、そんなことを想いながらこの本に触れ、
そして私に奨めてくれたんだと思います。

和美さん、素敵な「物語」をありがとう☆
そして、これからもカウンター越しに、温かい珈琲を飲みながら、
いろいろな「お話」をしましょう☆

さて今日はどんな物語に出会えるでしょうか~♪♪