2009年2月アーカイブ

「おくりびと」

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映画は大好きです!!
ただ、あまり時間がなくて、
年に1~2度しか映画館へ足を運ぶ事が出来ないない私が、
久々に観たくて出掛けた作品「おくりびと」が
見事 第81回アカデミー賞を受賞しました!!

鑑賞後まず口をついて出た言葉は、
「こんなに笑う作品だとは思わなかった~(笑い)」でした。

勿論それ以上に泣きました。
観終えた時間が遅く、もう外が暗くなっている事に感謝
したくらい、顔はグシャグシャでした。

のっけから、見るからに女性と思われる人の納棺の儀式で
アルコールで体を清めている時、女性にはある筈の無いものが
あることに主人公が戸惑うシーンから始まるのです。

こんな吹き出す場面から、
初めは、納棺の時間に遅れたことで、不機嫌だった
奥さんを亡くしたご主人が、心込めた死化粧に涙し、
今までで、一番綺麗な妻を観た・・・と
頭を下げて礼を云い、

亡くなったおじいちゃんに、
奥さん、娘、孫 が、みんなでおじいちゃんの顔じゅうに
真っ赤な口紅のキスマークをつけて、
泣きながら笑うシーン、

お世話になった、お風呂屋のおばちゃんを送る時は、
おばちゃんがいつも首に巻いていた、
お気に入りのスカーフをそっと巻いて・・・

最後には、子供の頃、母親と自分を置いて
出て行った父を送ることになるのですが、
その父親の手の中にしっかりと握られていたのは
幼かった主人公が河原で父に送った「石」だった・・・

すべての儀式の本木君の所作が本当に美しかった!!

脇を固める、山崎努氏や笹野高史氏も素晴らしく、
日本には、まだこんな古風で奥床しい儀式があるのだということを
この映画を観て、初めて知りました。

今朝のTVで、この映画を観て、納棺の仕事をしたいという人が、
求人を見て、応募してくるようになった、と報じていました。
是非、これからの人たちに、この儀式を受け継いでいってもらいたいと
願って止みません。

少し前、日本の政治家が、全世界へ醜態を晒しました。
その汚名返上が出来たかもしれません。

 

 

土曜会

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一昨年の12月のことでした。
黒い礼服に身を包んだご婦人が、会釈して入ってこられました。
「ご無沙汰してます。以前、[土曜会]でお世話になっていました○○の娘です」と・・・
[土曜会]という言葉が、私をタイムマシーンに乗せ、過去へと連れ戻して行きました。
もう10年くらい前になるでしょうか・・・

帽子にステッキ、という古き良き時代の紳士、といった出で立ちの八十歳代の方と、
そのご友人とお見受けする方がご来店になり、
突然ですが、週一回ここで仲間との集まりの会を持ちたいのだが、
ご迷惑でなかったらお願いしたい、と・・・
これまで利用させて貰っていた店が、ご高齢になられ閉められることに。
代わる場所を探していたところ、吹野はどうか?!
という提案があり、お願いに来たところです と。

勿論お断りする理由など何もありません。
そちらの迷惑にならないよう、何なりと条件を出して下さい。
珈琲代以外に、場所代も別にお支払いします。
と、言って戴きましたが、そんなお気遣いは要りません。
どうぞ!!と申し上げると、
では、次の土曜日から宜しく! ということになり
それから、毎週土曜日の十時半になると、
少ない時は四~五人、多い時は十人位になる「土曜会」が催されるようになりました。

かつての職場のご同僚で、そのステッキの御大とその部下だった方々のお集まりでした。
が、かつての上司と部下、という垣根は全く無く、同じ時代を生きた同士という
和気藹々としたお仲間で、いつも昔話に花が咲いていました。
そして、締めくくりは、いつも御大のこんな一言でした。
「君たちはいいよ。女房がいて・・・俺はひとりで寂しい・・・」と・・・
御大は数年前に奥様を亡くされ、その御大をお慰めするためにと 始まった「会」でした。

だから、この土曜会を一番愉しみにしていたのは御大でした。
十時半からの集まりなのに、待ちきれず、
十時頃にいらしては、「みんなはまだか!!」と急かされ、
「まだ時間になってませんよ~(笑い)」と言っても納得されず、
「R君に早く来るように言ってくれ!!」と電話をさせて戴く事も屡
そのうち、待ちきれず、なのか、時間を間違えていらっしゃるのか、
わからないようになって来ました。

みなさんご高齢になられ、集まられる人数も減り、
家族の付き添いが無ければ吹野へ辿り着けない
という状態になられた方も・・・
喪服の女性は、その時お父さんに付き添っていらしていたお嬢さんでした。

結局、御大が体調を崩された事で、閉会を余儀なくされ
毎週土曜日に皆さんのお顔を見ることは叶わなくなりました。

あれから何年経ったのでしょうか。
喪服のご婦人はその日、お父様の四十九日を迎え、
ふと、吹野を思い出して下さり、
「お礼を言いたくて・・・」と訪ねて来て下さいました。

御大が倒れられてからも、土曜会のお仲間は病床に集まり、
いつも吹野の話をして下さっていたそうです。
だから、どうしてもここへ来たかったんです!!

そう仰りながら、懐かしそうに吹野の店内をぐるっと見回し、
そこに在りし日の父上の姿を重ねていらっしゃるようでした。

その後、後を追うように亡くなったRさんの奥様と
Rさんの一周忌の法要の後、お立ち寄り下さり、
先日は亦、Rさんの奥様と供に、
昨年9月に亡くなった御大のご仏前にお参りされたお帰りに
お二人で立ち寄って下さいました。

土曜会が幕を閉じた今も尚、そのお嬢さんが、
その縁をしっかりと引き継いでいらっしゃる事を
きっと、皆さん、あちらで嬉しく思っていらっしゃるでしょう!

素晴らしい娘をもってしあわせなお父様です。

いつも御大が帰り際、カウンター越しに右手を差し出され、
私に握手を求められるのが恒例となっていたのですが、
ある時、その後ろに続いていらしたそのお父様が、
「それじゃ~私も・・・」と恥ずかしそうに右手を出された事を
懐かしく思い出しました。

みなさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。


 

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